ビンゴ横浜の運営母体であるNPO法人ダイバーシティコミュニケーションズに、「障害者差別解消法」改正について、最近企業様からご質問がありました。
そこで、「障害者差別解消法」の改正案(5月に可決)を中心に当法律を見ていきたいと思います。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)は平成25年6月に制定され、平成28年4月1日から施行されました。
令和3年5月、同法は改正されました(令和3年法律第56号)。改正法は、公布の日(令和3年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
この法律は、”不当な差別的取扱い”を禁止し、”合理的配慮の提供”を求めています。それにより、障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指していきます。
今回の改正の大きなポイントは、これまで企業や店舗など民間事業者には「努力義務」とされてきた“合理的配慮の提供”が、国や自治体と同じように「義務」として課せられるという点です。
では、この”合理的配慮”とはどのようなものか具体的に見ていきましょう。
誰でもスムーズな移動
車いす等肢体不自由の方が自由に移動できるよう、スロープやエレベーターの設置、介助者の用意をします。
誰もが理解できるような説明の仕方
複雑な指示や専門用語が分からない方がいます。簡単な言葉で伝えたり、イラストを使った対応を行います。
誰もが疲労・緊張なく過ごすために
疲労・緊張の強い方のために快適に過ごせるためのスペースをお店や会社等は作ります。
誰もがストレスなく仕事をするために
業務形態や業務時間の調整をします。
このように、”合理的配慮”の例は挙げられますが、対応は個々に応じて提供されるものなので限りなくあります。すべてに対応しようとすると、各事業社には限界が生じます。そのため、法律では事業者の“過重な負担にならない”ことが条件になっています。
事業社にとって“過重な負担”かどうかは、個々のケースによって総合的、客観的に判断される必要があります。いままでは努力義務でしたから、事業者側が一方的に障害のある方の要望を聞かなかったり、“努力はしている”という体で実際には改善をしなかったりということがありました。誰が見ても実現不可能な要望に応える必要はありませんが、障害のある方の意向を十分に尊重し、状況に応じて最も良い解決策を模索する、話し合いのプロセスを含めた作業は大切です。
いまのところ、合理的配慮の義務を怠ったからと言って、すぐに罰せられる訳ではありません。しかし、従わない事業者に対しては行政指導が厳しくなることでしょう。
障害のある方、ない方が分け隔てなく暮らせる世の中への歩みがまた一歩進んだといえると思います。